Japan Heritage KISO旧帝室林野局木曽支局庁舎
尾張藩の管轄であった木曽美林は明治政府に引き継がれ、明治22年以降、皇室財産「御料林」へと編入されました。同39年に開庁した宮内省御料局木曽支庁は木曽ヒノキを基軸に森林鉄道等による近代的経営を行った拠点です。局は大正時代に「帝室林野局木曽支局」と改称され、庁舎は昭和2年の大火により焼失しましたが、わずか半年で現地に再建され、木曽山の歴史と皇室の威光を今に伝えています。
旧帝室林野局木曽支局庁舎は、木造の本館、鉄筋コンクリート造の倉庫、汽缶(ボイラー)室が一体として残り、全体として近代の林野行政を知る上で貴重な建築です。また、アール・デコの意匠がみられ、当時の建築様式を知る上でも貴重です。さらに、設計図面・棟札等が残っており、多数の名建築を輩出した宮内省内匠寮の設計で、請負が東京の業者であることが分かるなど、資料も貴重です。木曽の森林文化を長く伝えられる文化施設として、また木曽町内の近代化遺産としての重要な位置付けが明確となっていくことからも貴重です。
1階には幅広い世代にも親しめるように「木育ルーム」を設置、県産材の良質な「ひのきのおうち」ほか、様々な木のおもちゃで自由に遊ぶことができ人気のスポットです。2階の展示室では明治13年の「木曽谷模型」を展示しています。作者は御嶽教行者で布教のも尽力した児野ちごの嘉左衛門かざえもんです。農林省山林局木曽出張所が発注し、東京上野の第二回内国勧業博覧会に出品されました。周囲13mの巨大なジオラマで木曽谷全体を立体的に表しています。材料は天然木曽ヒノキです。